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2020.04.10 TRACERシリーズ
登場して4シーズン。
ARVシリーズと共にARMADAのラインナップを大きく二分するTRACER(トレーサー)シリーズの魅力を改めて確認してみましょう。
TRACERシリーズとは
TRACERシリーズは、ARVシリーズのような、パークやマッシュを飛ぶための、いかにもARMADAらしいフリースタイルなツインチップのシリーズではありません。
フリーライディングに特化したシリーズです。
理由は、テールがフラットに伸びた落ち着いたシェイプと、ややセットバックされたセンターポジション。
ノーズからテールまでエッジを噛ませて、スキーをしっかりコントロールしながら、複雑な天然の斜面にターンを刻んで滑り降りる大人のスタイルにもってこいです。
またこうした形状のスキーは、バックカントリーのフィールドにおいて、ツインチップよりもポテンシャルを発揮します。
テールがフラットなので有効エッジが長く、グリップが良いだけでなく、前向きの滑りにおいて安定感が増します。
バックカントリーではハイク中からライディング中までスイッチする機会は少ないのでツインチップである必要はありません。
またスキーが同じ長さだったとしても、テールがフラットな分、接雪面がテールまで確保できることから、スキンがグリップしやすく、つまりハイクがラクです。
実は、バックカントリースキーとフリーライド・コンテストシーンの流行により、似たような板は、他のブランドからも多数ラインナップしています。
そのなかでもARMADAのTRACERシリーズは、他ブランドとは一線を画し、スキーがいかに楽しいかを再確認させてくれるようなオリジナルの世界観を持った自慢のシリーズに仕上がっているのです。
写真:TKY @白馬BC
特徴は何と言っても驚くほどの軽さ
ではTRACERシリーズのストロング・ポイントはなんでしょう?
ARMADAのTRACERシリーズは、各ブランドからラインナップされているフリーライド系の板と比べて、とにかく軽いです。
そのため板さばきが自由で、遊び心をくすぐる仕上がりとなっています。
先ほどお伝えした用途やデザインから、硬派で大人な板のイメージだと想像しがちですが、そのあたりはARMADAらしいエッセンスが加えられています。
実は19/20シーズンからマイナーチェンジがかかり、サイズによってさらに8-12%の軽量化に達成!
その軽さは、マウンテニアリング系ブランドからリリースされている、ハイクに特化した超軽量の板に匹敵するほど。
ちなみにTRACERは、構造やシート素材を工夫し、そうした超軽量ハイク用スキーの弱点とも言える滑走時の頼りなさを克服し、滑りを重視した満足度の高いスキーとなっています。
加えて、
どんな雪質でもスムーズに動いてくれる絶妙なロッカー構造
ストレスを感じない高品質の滑走面
冒険心を煽る氷河をあしらったデザインなど
オールマウンテンでのスキーを楽しむのに最適なシリーズとして高い完成度を誇ります。
言うなれば、TRACERはシリーズは、アドレナリン溢れる冒険を支えてくれる頼れるパートナー!
目的地やターゲットにより4サイズ展開(88/98/108/118)されていますので、その中から適したサイズを選び、山で『Yeeeewww!!!』の歓喜の声をあげましょう!!
セットアップするビンディングですが、板が軽量なだけに、その長所を生かすよう軽量なテックビンディングを推奨します。
滑りを犠牲することなく優れたハイク性能を誇るARMADAシフトビンディングとの相性は、特に抜群です。
シリーズ中、最も太いセンター幅118mmのTRACER118は、ビッグマウンテン系のライダーに人気を誇ります。
芯材は軽いながらも、他サイズよりシッカリした素材で出来ており、さらにロッカーとキャンバーは浅め。
そのセンター幅と相まって浮力と安定感が抜群で、海外のようなデカいオープンバーンを高速で滑り抜けるようなシチュエーションでその真価を発揮してくれます。
とはいえ、見た目に反してはるかに扱いやすく、軽量のためエッジ切り替えもスムーズ。
ハイクを伴うバックカントリー用のファットスキーをお探しの方や、ツインチップ形状に抵抗のある方が、パウダー専用スキーとして2台持ちするのにオススメです。
最も汎用性が高く、人気も高いセンター幅108mmのTRACER108。
太すぎず細すぎないこの絶妙なセンター幅は、とにかく扱いやすいです。
日本のスノーフィールドは、比較的標高が低いため、アイス・パウダー・ザラメ・ベタ雪と、同じ日に様々な雪質を滑ることも。
またオープンバーンよりもラインの狭いツリーランがほとんどです。
そんな日本のスノーフィールドには、最適な1台となるでしょう。
この板もTRACER118同様、ロッカーとキャンバーが浅めにしてあり、やや細めのセンター幅ながら、深いパウダーコンディションでも滑らかに動いてくれます。
またエッジグリップの良いシェイプなので、ゲレンデのピステンバーンでのカービングまで楽しめることから、1台であらゆるシチュエーションを楽しむならこのサイズがオススメです。
TRACER98は、TRACER118・108と異なり、芯材に超軽量素材を採用。
その素材の補強としてアダプティブメッシュを採用し、滑りを頼もしく支えます。
このサイズになると格段に軽量感が優れるため、滑りをメインとするロングツアーは、圧倒的にアドバンテージになります。
芯材が軽量な分、TRACER118・108と比べてキャンバーが高い構造にしており、滑りごたえを補填します。
またセンター幅98mmだとエッジが足元に近いことから、エッジグリップが格段に良くなります。
R17-18.5mという小さめの半径のサイドカーブも相じて、切れ味鋭いターンが楽しめますので、アイスバーンや悪雪が想定される日のバックカントリーでは心強いです。
そしてエッジグリップが良いと、足場が不安定な高い標高帯や、急斜面でのハイクにおいて安心感が格段にあります。
またゲレンデ中心でパウダーを楽しむスタイルの方には、ちょうど良いサイズ感となり、軽量オールラウンドスキーをお探しでしたらオススメです。
今季のTRACERシリーズで唯一モデルチェンジが図られた注目のTRACER88。
変更点は、再設計し直したシェイプと超軽量素材により、異次元の軽さの実現に成功したところです。
6時間を超えるようなロングツアーや、バックパックにスキーを括るのが想定されるようなルートでは、ハイクの時点でかなりのアドバンテージをもたらしてくれます。
超軽量が優先のコンセプトですが、それでも出来る限りの補強を盛り込み、ハイクに特化したスキーの中では、ダントツの滑り応え。
88mmというセンター幅ながら、柔らかい雪で少しでも浮力が出るよう、接雪面とサイドカットを計算し尽くしたテーパーデザインにより、期待を超えた完成度となりました。
できれば小型で超軽量なテックビンディングとセットアップでのご利用をオススメします。
ARMADAがTRACERをリリースして以来、年々レベルアップし山の奥地まで行動範囲が広がっているユーザーもいるはず。
TRACER88を選べば、昨シーズン手の届かなかった、さらに奥地の斜面にアプローチするのも夢ではありません!
TRACERシリーズのレディースモデルとしてリリースされているTRACEシリーズ。
メンズとサイドカットは同じですが、今季よりレディースモデルのみ、TRACE108とTRACE98に芯材の変更が図られ、滑り応えそのままに、さらに軽量になりました。
TRACE88はメンズモデルTRACERと同様のモデルチェンジとなり、異次元の軽さとなりました。
シチュエーションごとの提案
TRACER118 ↓
●パウダーシーンでのバックカントリー用
●パウダースキー(ツインチップに抵抗のある方)
TRACER108 ↓
●どのコンディションでも1本で使いまわすバックカントリー用
●ゲレンデ用セミファットスキー
TRACER98 ↓
●ファットスキーをお持ちで2本目のバックカントリー用
●ロングハイク用(4~6時間以内)
●ゲレンデ・サイドカントリー用
●ゲレンデ用(中級スキーヤー・女性・シニア)
TRACER 88 ↓
●ロングハイク用(4~6時間超)
●とにかく軽さを重視したいスキーヤーへ
長さに関して
ロッカーの具合が絶妙なので、特にワンサイズ上げなくてもある程度浮力が保たれます。
ワンサイズ上げると、ビンディングポジションがセットバックされている分、ノーズが長すぎてコントロールが難しくなる恐れも。
普段乗っているサイズと同じレンジでお選びください。
ビンディングのマウントポジション(取付位置)
ARMADAとして推奨するマウントポジションは、シリーズ通して5-8cmセットバックされています。
ツインチップに慣れている方(踏み込まず滑るスタイルの方)には最初は抵抗があるでしょう。
その場合、推奨ポジションから1-2cmセットフロントするのが良いかもしれません。
普段からディレクショナルの板に慣れている方は推奨ポジションでの取り付けで浮力が発揮されます。
※長さ、ビンディングマウントポジションについて不安な方は、プロショップまでお気軽にご相談ください。
冒険の旅はTRACERシリーズで!
さて、改めてTRACERシリーズの魅力をお分かりいただけましたでしょうか?
細かいスペックの話は割愛し、直感的な用途に絞って魅力をお伝えいたしました。
あらゆる雪質やコンディションに対応してくれる安心感。
そしてダントツの軽さ。
心踊るアドベンチャーのパートナーは、このシリーズで間違いなしです!
では前途多難なシーズンでしたが、来季はより良いシーズンになることを願って!
来シーズン、TRACERシリーズと共に新たな冒険に出ましょう!!
ARMADA JAPAN バックカントリースタッフ
Takaya TKY Kawaguchi
写真:TKY @奥只見BC
2018年5月立山でのTRACERフィールドテスト動画です。