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2023.06.02 旅 x LOCATOR96 2023 / How to “DIY” ギアメンテナンス.
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
5月もあっという間に月末を迎え、多くの皆さんがスキーシーズンを終えたことでしょう。野沢温泉のテストセンター周辺はもちろん近隣の山々もあっという間に冬の姿から夏の姿に変わりました。乗鞍岳や立山と言ったごく限られたエリアではまだまだスキーを楽しむことが可能ですが、これでひとまずシーズンの区切りとしたと思います。今回はARガイドであり旅するスキーヤー河口 TKY 尭矢よりLOCATOR96と共に国内各地からノルウェーを旅した様子が届きましたので紹介いたします。また、シーズン仕舞いに欠かせないギアのメンテナンスや保管について詳しく書き進めて参りたいと思います。
さて、シーズン終了後、皆さんはどのようにスキー道具をメンテナンスし保存しておりますでしょうか?スキーは長年経験があっても近年多くの人が新たにBC=山スキーを始め、お手持ちのギアも大幅に増えメンテナンスについてお悩みの方も多いことと思います。今回は様々な方法が存在しておりますが、私たちが普段行っているギアのメンテナンスや保管方法について詳しくご紹介して参りたいと思います。次のシーズンを気持ちよく迎えるためのキーワードは”綺麗にして保護&安定した環境で保存”です。
◉スキー&ビンディング
我々にとって一番大切な道具と言っても過言ではないスキーとビンディング。競技スキー由来のチューンナップ の方法や理論は無数にありますが、我々はあくまでフリースキーヤーです。規制区間で競うレースとは滑る環境が異なります。フリースキーのためのメンテナンスについてARMADAテストスキーを管理するテストセンターよりお送りいたします。オフシーズンにひと頑張りするだけで来シーズンはより良い思いができるかもしれません!
1.泥汚れなどは水洗いで落としよく乾かす。
2.エッジの割れや消耗、剥離、トップシートの破損、ソールの破損確認。
→消耗や破損があった場合は専門店にて修理・チューンを行ってください。
3.ダイヤモンドファイルでエッジのバリを取る。
アイロンの傷つきや滑走時の引っ掛かりを防止します。
アイロンに傷が入るとソールの至る所に傷が移ってしまうため本末転倒です。
ダイヤモンドファイルがない場合は当て板と400番程度のペーパーや砥石でも代用可能です。
4.スクレーピングで大まかな汚れやケバを落とす。
→特に油などの不純物をたくさん拾う春は、いきなりクリーナーを使用すると汚れが溶け広がり大量のクリーナーを使うことになってしまいます。
5.クリーナーを染み込ませたウエスでソールを拭きあげる。
6.ブロンズブラシでストラクチャー の隙間に挟まった細かな汚れやケバを掻き出す。
7.ファイバーテックスでソール表面を整える。
ソール表面がより滑らかになり、このままでも滑るのでは?と錯覚するほどに仕上がればOKです。
ここまでの作業を徹底すると8割程度の汚れを除去可能です。
ワックスの伸びもよくなり作業性が向上します。
8.クリーニングワックスを行う。
日向に置くと溶けるほど非常に柔らかいワックスを使用します。
暖かいうちに剥ぎましょう。見ての通りスキーにはいろいろな汚れが付着しています。
特に、春シーズン使用したスキーは念入りなクリーニングが必要です。
9.ワックスを塗りっぱなしにする。
テストセンターでは少し硬めの国産オリジナルワックスを保存ワックスに使用しております。
垂らすと伸びないのでWAXに熱を加え生塗りをするように塗布しアイロンで伸ばします。
クリーニングによる余熱を利用し、ソールが冷めきる前に塗ることが大切です。
くれぐれもワックスは剥がさないでください!!
10.ビンディングの開放値を緩め、高温にならない低湿度の日陰で保管。
スキー用のビニール袋に入れられるとさらに良い状態で保管が可能です。
環境の安定した室内で保存しない場合、サビや高温による剥離、変形が起こります。
また、ビンディングの開放値は緩め、ビンディング本体へのストレスを減らしましょう。
プラスチックを多用しているビンディングは劣化の速度が速いので古いものには要注意です。
ワクシングDIYのポイント
・必ず綺麗で滑らかなソールにワックスを塗ること。
→下地処理が悪いとどんなに良いワックスをどれだけ塗っても滑りません。
下地作りが8割、ワックスを塗ることが2割と思っていただいて結構です。
・暖かい時期に、スクレーピング→ホットワクシングを繰り返し行うこと。
→WAXの浸透率が良い暖かい時期に、暖かいソールにWAXを塗り込むことです。
アイロンも指定温度より低い状態で施工できるのでソールを焼いてしまうリスクも低下します。
保存前に一気に繰返し塗るでも良し、月に一回塗るでも良しです。
シーズンまでに4回程度繰り返し塗ることでWAXが浸透・定着します。
ベースをしっかり作ることで最近流行のリキッドワックスの使用が可能となります。
ソールの状態を常に良い状態に保てた場合、シーズン中のホットワックス は月1回程度です。
・スクレーパーはこまめに研ぐこと。
→WAX を剥がすたびに小さなケバがなくなっていく為、よく走るスキーに育ちます。
無駄な力を入れずに楽に削られるので安全です。
こんな時はチューンナップショップへ
・深い傷ができている。芯材の露出
・無数にできた細かい傷や毛羽立ちによってソールが鮫肌のような触り心地になっている。
・ソールが磨耗しストラクチャーが消えている。
・エッジの角が丸まった、ギザギザになっている。
・ソールの歪みや凹凸によりワックスの伸びが悪い。
・ストラクチャー やエッジをチューニングしたい時
・Wax Futureでワクシングの効果や効率を高めたい場合。
・自宅で作業できない場合。
芯材が見えてもこの通り修理可能です。
ストラクチャー 施工でより走るスキーに生まれ変わります。
湿雪、緩斜面での伸びの差は歴然。
*ジブに乗った板はストラクチャー加工ができません。新品のうちにストラクチャーを入れましょう。
◉シール
①完全に乾燥させる(必要であれば起毛面をアイロン掛けし水分を蒸発させる)
②乾拭きで起毛面の汚れをしっかり落とす
③グルー面(接着面)のゴミをできるだけ取り除く
④グルー面(接着面)にクッキングシートを貼り、できるだけ空気に触れさせない
チートシートやクロスのままだとベタ付きます。
⑤畳んで、空気に触れないようチャック付きの袋で密封する
乾燥剤を封入すると、内部が乾燥した状態を保てます。
⑥極力26℃以下の乾燥した室内に保管する
可能であれば冷蔵庫や冷凍庫の空きスペースに入れてください。
※粘着が弱くなっている場合、シーズンイン直前に起毛面からアイロンをかけると粘着力が復活することがあります。復活しない場合は張り替えや買い替えを検討しましょう。
◉ブーツ

①シェルの土汚れ・雪垢を念入りに落とす
→汚れはプラスチックの劣化を促進させます。
②インナーとインソールを抜き、完全に乾燥させる
→熱をかけすぎると熱整形可能なものは全て変形の恐れがあります。
③ビスやバックルの緩みを確認・修正

→削れていると滑走中にビンディングが開放します。
◉ポール
可動部分に砂などのゴミが噛むと傷や固着の原因となります。
◉アウターウエア(シェル)


スキーのメンテナンスに注力しがちですが、ウェアのメンテナンスも重要です。これを怠ると、ゴアテックス採用の高額ウェアであってもせっかくの機能が台無しとなってしまいます。機能が低下すると、山でインナーを濡らしたり、汗をかいたりと、低体温症や疲労を起こす原因になり直接命に関わる事態となります。現代のウェアは高品質なものが多く、本来の機能を発揮する為にはそれ相応の手入れが必要です。良いものほど実にデリケートです。※DIYでの洗濯が心配な方はプロのクリーニング専門店にお任せしましょう。
①目立つ汚れを落とす
→土や雪垢、皮脂汚れなどは劣化の原因です。
特にエリ周り、袖周り、お尻、ヒザが汚れがちです。
②破れを直す
→小さなカギ裂きは専用リペアテープで、大きな穴はメーカーリペアにお願いしましょう
③ウェア専用洗剤でクリーニング
→市販の専用洗剤を使用します。
汚れが落ちやすいので、できればぬるま湯をオススメいたします。
洗濯タグを見て、手洗いか洗濯機か判断しましょう。
洗濯機の場合、洗濯ネットの利用をオススメいたします
ポケットの中身は全て出し、すべてのジップを閉じてください。
くれぐれもダウン用の洗剤と間違わないように!!
通常の洗剤はNG!
洗剤のカスが生地の空気穴に詰まり、通気を妨げます。
同じ理由で柔軟剤も厳禁です。
④専用液剤で防水コーティング
→クリーニング後、洗濯機の脱水機能は使わず軽く乾かし、コーティングに入ります。
クリーニング専用洗剤での洗濯と同様に洗濯機で洗います。
脱水をかけずに軽く乾かします。
⑤乾燥機で熱をかける
→熱をかけることが重要です。
それによりウェア表面にある目に見えない撥水基がケバ立ち、水をコロコロ弾きます。
アイロンで処理する方もいるようですが、乾燥機をお勧めします。
ドライヤーは熱ムラが発生するためお勧めしません。
乾燥機をお持ちでない場合はコインランドリーへ!!
⑥陽の当たらない乾燥した部屋で干した状態で保管
※液剤のブランドによって使用方法に違いがあるので、使用方法確認のこと。
※防水スプレーは表面を覆ってしまい、生地の通気性が損なわれるのでオススメしません。
◉ダウン(羽毛・化学繊維)

①目立つ汚れを落とす
②破れを直す
③専用洗剤でクリーニング
→ダウンは専用洗剤を使い、ぬるま湯で洗います。
洗濯タグを見て、手洗いか洗濯機か判断しましょう。
洗濯機の場合、洗濯ネットを使用しましょう。
ポケットの中身は全て出し、すべてのジップを閉じてください。
通常の洗剤はNG!柔軟剤は厳禁!
④脱水をかけずに軽く乾燥させる
⑤乾燥機で熱をかける
→熱をかけることが重要です。
可能であればテニスボールを同時に放り込みパンチングさせてください。
そうすることでロフト(羽毛のかさ)がフワフワに戻ります。
乾燥機をお持ちでない場合はコインランドリーへ。
⑥陽の当たらない乾燥した部屋で『平置きにして』軽く畳み保管
ダウンはハンガー保管NGです
半年間かけっぱなしだと重力で羽毛が下に落ち、ペタンコになります。
化学繊維を使用したインサレーション(中間着)、もしくはフリースの場合は、中性洗剤丸洗いでOK、加熱は不要です!最近のARMADAの中間着は化学繊維を使用しておりますので自宅でも手軽に洗うことが可能です。
◉グローブ
→オイルを塗らないと次のシーズンまでに乾燥して劣化、ひび割れが起こります。
◉バックパック
◉ビーコン

①電池を外す
→半年電池を入れたままにすると端子が劣化するか、電池が劣化します。
入れたままにして電池の液ダレが起こらないようにしましょう。
②電池ボックスはホコリが入らないように蓋をする
③毎年、新品の電池を入れましょう。