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2023.07.07 ショートファットの可能性 “SHORT PANTS PARADOX”
6月は早期展示・予約会シーズンということで多くのファンの皆様にお会いすることができました。会場へ足を運んでくださり、貴重な情報交換などを通し、皆様のARMADA愛をたくさん感じた1ヶ月となりました。ありがとうございました。
さて、今回はZERO SHORT PANTS PARADOX(以下SHORT PANTS)について書き進めていきたいと思います。このスキーに関しては正直よく分からないという印象をお持ちの方も多いことと思います。 スペックやシェイプを見るとやはり、かなり変わったスキーという印象を持ちざるを得ません。今ではすっかりおなじみのSTRANGERも発売当初は正にSTRANGERと言われておりましたが、このスキーはそれ以上にユーニークなスキーとなっているのではないでしょうか。今回はショートパンツを使用する2名のARMADA Japan Familyのインタビューを交え、より詳しくお伝えしてまいります。
コンセプト&ネーミングの由来
当初、ユースや女性のビッグマウンテンスキーヤーが扱うことのできる、ショートレングス&軽量かつ力強いスキーとして開発が進められましたが、今ではユニセックスでしっかり使えるスキーとしてZEROシリーズにラインナップされております。なぜSHORT PANTS PARADOXという名がついたのかは次の通りです。
・SHORT PANTS=少し裾丈の短いパンツを意味する言葉。
→普通のフリーライドスキーは180~190cm半ばが当たり前。
・PARADOX=逆説的
→短いスキーでのハイスピード滑走、ビッグターンはあり得ないという定説、固定概念を覆すパフォーマンス。
遠い過去から現在に至るまで、ハイスピード、ビッグターンに耐えうるスキーを開発する中で短いスキーに目を向ける者などおりませんでした。ショートパンツは180cm以上の長さが当たり前のフリースキーに一石を投じる存在です。
ショートパンツの特徴
●ロッカー&キャンバー バランス
SHORT PANTSは滑りに特化したディレクショナルタイプのスキーです。ノーズ側は低く抑えられたロッカーと、ノーズ寄りにオフセットされたキャンバーピークの位置に注目です。お気づきの方も多いかと思いますが、WHITW WALKER 116に近いロッカー&キャンバーバランスとなっております。対して、テール側はロッカーが長く取られ(ロッカーの開始点がセンター寄り)、ノーズ側と比較すると有効エッジも極端に短くなっております。テール側は一見、不安定そうに見えますが接雪点の直前までキャンバーアーチが高くキープされているので、短い有効エッジ長であってもしっかりとエッジが雪面を捉えます。そのためエッジの角付けを正しく行なった場合は不自由なくカービングし、スキーを面で使った場合はテール側が自由に動きます。たとえ短くとも、不安定な雪面を滑りがちなフリーライディングを行う上で必要な要素はフォローしております。
●ピン・ノーズ&スミールテック・テール
ノーズはWHITE WALKER 116で多くのスキーヤーに衝撃を与えたピン形状です。ピン形状の1番のメリットは圧倒的な突破性の高さを実現できることです。滑走時にノーズが受ける抵抗が非常に少ないためスピードが乗りやすくなります。ビンディングのセットバック量やフレックスを綿密に設計しているのでピン形状ですが、しっかり踏み込んでも刺さらずパウダーを滑走するのに十分な浮力を得ることが可能となりました。また、ピン形状とすることでスイングウエイトを軽減し、軽快にスキーを操作することが可能です。
テールにはARMADA独自の3D加工”スミールテック”を搭載いたしました。ロッカーと相まってテールを時に大胆に、時に繊細に動かすことが可能です。特にパウダーの中での操作性は飛躍的に向上します。スキーらしい切り込んでいくターンから、サーフィンライクな舐めるようなターンまでありとあらゆる動きを実現します。スキーの見た目こそ難しそうなディレクショナル形状ですが、ARMADAらしい自由さ、遊び心と言ったフリースタイルの要素が随所に隠れております。
ショートファットというニュームーブメント
日本で最もパウダー文化が定着している北海道エリアで、最近よく耳にするワードがショートファットです。定義としてはセンター110mm以上、長さは170cm台のスキーを指します。”パウダースキーは180cm台が当たり前だった”というスキーヤー達がショートファットの魅力に気付き始めていることは紛れもない事実です。道具の進化によって固定概念を覆し、ニュームーブメントが巻き起こるのは時間の問題ではないでしょうか?フリースキーは常に変化・進化し続ける遊びです。SHORT PANTS PARADOXの可能性は計り知れません。
Ski Styleを選ばないSHORT PANTS PARADOX
今回はSHORT PANTSを愛用する2名のARMADA JAPAN アンバサダーへインタビューを行いました。インタビューに答えてくれたのは、中山椎菜と河口TKY堯矢の2名。
Skier:Shina Nakayama
北海道エリアをホームとし、基礎スキーをバックボーンに持つフリーライダー。第1回全日本ジュニアスキー技術選手権大会にて総合優勝、第54回全日本技術選手権大会では不整地小回り種目で3位に入るなど確かな実績とスキルを持つ。それらの経験で培ったスキルを現在はパウダー&BCシーンに落とし込み、ライフスタイルとしてのスキーを発信中。
①SHORT PANTSを選ぶ理由。
今までにない新感覚な乗り心地に惹かれました。一見すると不思議な形のスキーですが、遊びの多いテールとしっかり雪面をとらえ切り込むことのできるノーズのバランスが絶妙で遊びの幅を広げてくれます。また、基礎スキー出身ということもあり、慣れ親しみ違和感のないディレクショナル形状でありながら、しっかりと遊べるSHORT PANTSは私によくマッチしていると思います。
②得意なシチュエーションについて
北海道をベースに滑っているのでやはりパウダーでのパフォーマンスの高さが気に入っております。過去にはJJULやTRACER 108と言ったARMADAを代表するパウダー・BC系のスキーを乗り継いできました。
重量的にはどれも同じくらいですが、SHORT PANTSはその2機種と比較してスキー全体に張りを持たせているのでオンピステでのターン性能も非常に高くなっております。しっかりと踏み込み、有効エッジの長いノーズを適切に使うことがこのスキーで綺麗なターンをするためのポイントです。また、テール側のロッカーが長めにとられているので柔らかいと錯覚しますが、接雪部分の剛性は高いのでエッジが確実に雪面を捉えます。結果、一台である程度何でもできてしまうポテンシャルを秘めています。
③他のモデルと比較して特に異なる点。
長さが無くても、安定感や浮力を感じることができ、ショートスキー特有の細かい動きもしっかりできます。またテールのロッカーが長く取れ、エッジのないスミールテック・テールなので、引っかかることがなく、丁度よくズラすことができ、コントロールしやすいです。
④どんなスキーヤーにおすすめか。
サイズ的にも、形状的にも、多くの日本人スキーヤーにマッチするのではないでしょうか?ファットスキーを初めて買う方も操作しやすいですが、すでに他の板を持っている方に新しい感覚のショートパンツを履いていただきたいです。また基礎スキーやレース経験者で、長年ディレクショナルのスキーに親しみを持った方にもぜひお試しいただきたいです。SHORT PANTSと共に、スキーの新しい楽しみ方に出会ってみませんか?
Skier:Takaya TKY Kawaguchi
ski&surfingで世界一周を達成。まさに旅するskier&surferであり日本山岳ガイド協会認定BCスキーガイドとして活躍中。長野県北信エリアをホームとしつつクライアントのニーズに合わせ、雪を求め、その行動範囲は日本全国各地にとどまらず海外にも及ぶ。冬はスキーで各地の山々を、夏はサーフボードに乗り換え各地のビーチをガイディング。全国通訳案内士、総合旅行業務管理者。旅のプランニングから、現地アテンドまで全てを一貫し、究極の非日常体験をクライアントの皆様へ提供する。
①この板を選ぶ理由。
今回、全く違う乗り味の板にチャレンジしたかったためSHORT PANTSを選びました。また、サーフィンの様に滑りたかったことも理由の一つです。
②得意なシチュエーション。
ロッカーが浅いので、ノートラックのパウダーでは抵抗がなく、スピーディーに滑れます。ノーズが長い分浮力を稼げますし、スピードに乗せることでより強い浮力を発生させます。テールの雪抜けもいいのでスピードも非常に乗りやすいです。
R地形(壁遊び)も非常に面白いスキーです。テールがスミールテック&エッジレスなので、テールを振ってスラッシュし放題です。滑りの中でサーフライクに遊ぶことが可能です。
③他のモデルと比較して特に異なる点。
テールの自由度の高さとズラしやすさは他のスキーにはないSHORT PANTSだけのものです。オンピステでは、サイドカーブが縦なので、斜面に張り付く感覚よりはとにかくズラしが自由です。テールがスミールテック&エッジレスなので、テールを振る動きも得意です。
④どんなスキーヤーにおすすめか。
新感覚のスキーが欲しい方はもちろん、一周まわって、クラシックスキー(カービングスキー以前の板)慣れしてる方にもお勧めです。また、ツインチップのパウダースキーが好きになれない方にもお勧めです。
⑤SHORT PANTSとBC
普段はLOCATORをメインで使用しておりますがSHORT PANTSのBCでのテストも随時行っております。STRANGERをパークで使うように、SHORT PANTSでも本来の用途を超えた使い方を模索中です。これもフリースタイルなやり方であり、ARMADAらしさでもあります。
TRACER TOURを装着することで重量という点では本格的なBCモデルにも負けないスペックを有しております。軽量ショートファット故、取り回しもよく、元々ライドに特化したスキーであるだけに滑走性能も言うことなしです。新たな遊び方、使い方の模索。これからの進展に期待しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回配信もお楽しみに!!