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2025.05.23 NEW BOOTS “AR ONE”
皆さんこんにちは。
早くもこの週末より7月にかけて展示会シーズンに突入します。
そちらも踏まえると、今年のビックニュースは何といってもスキーブーツ“AR ONE”の登場です。
既に試乗会で履かれた方もいらっしゃるかと思いますが、大半の方は未体験であることでしょう。シーズンの終わりを迎えた今、各SNSやメディア媒体の配信が進み、気になっている方も多いのではないでしょうか。今回はその”AR ONE”の全容について書き進めてまいりたいと思います。

ラインナップ

AR ONE ラインナップと基本情報
フレックス:130,120,110,100,90
サイズレンジ:24x~29x(130,120),23x~29X(110,100,90)
ラスト:100mm
コンセプト&テクノロジー
AR ONE=ハーフカブリオ(1/2CAB)デザイン
→2ピース(4バックル)&3ピース(3バックル)の要素を融合させた第三のブーツ。
その見た目から「昔からよく目にする3ピースのフリースタイル風な形をしたブーツでしょ。」「パーク専用のブーツでしょ。」と思われる方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。今までに存在したブーツのあらゆる問題点を、ARMADAらしいアイディアと開発力の下、解決したオールマウンテンスキーブーツです。

ハーフカブリオ(1/2CAB)デザインである理由。
・スパインドライブフレックス
従来の3Pブーツのようにフレックスがタンの硬さに依存したものではありません。
フレックスの大部分はロア&アッパーシェルの硬度に由来し、残りはタングから発生しております。
・FOREFOOT & UPPER CUFF オーバーラップ
従来の3Pブーツはロア&背面のシェル&タンの3面で挟み込むように足を締めます。対してAR ONEは、2Pブーツのようにロア&アッパーシェルにオーバーラップ部を設け、立体的に足を包み込む構造のため、フィット感が飛躍的に向上しております。
・EASY ON, EASY OFF.
簡単に履くことができる、脱ぐことができるのは3Pブーツの特権です。
甲高、幅広の足であっても、寒くシェルが硬い日であっても簡単に足入れが可能です。

NATTY FLEX
NATTYには綺麗、器用、巧み、自然といった意味が含まれます。
これはAR ONEが違和感のない自然なフレックスを発生させる構造を取っていることを意味しております。
1.フレックスチップ
AR ONEは、フレックス抵抗の大部分をカフとシェルの接続部分から得ております。接合部分は背面のフレックスチップによって固定されております。これは一般的なアルペンブーツブーツと同じ方法でフレックスを得ていることになります。
2.タン
AR ONEのタンは、低速でもエッジが効くように、初動の入力を容易にします。徐々に速度が上がり、タンにかかる力が強まるとしっかりと粘り、耐えられるフレックスに変化してまいります。
小さな振動をいなし、大きな力の入力をしっかりと受け止め、1.との相乗効果でスムーズなフレックス発生を可能としております。

スリングショットバックル
その名の通りパチンコから名を取ったこのユニークなバックル構造は、完全にARMADAオリジナルの発明です。写真のように、ロアシェルの上側、下側にワイヤーのアンカー部を設置し、キャッチャー側も同じようにバンドを固定しております。
バックルを締めこむと矢印の方向に力がはたらくため、ヒールポケットへ踵をしっかりと導き固定してくれます。スキーブーツを正しく履く上で最も難しいことは、ヒールポケットへ踵を収める事です。踵が入り切っていない状態で滑っている方がたくさんいるのは事実です。簡単に、踵をあるべき場所に誘導してくれる構造なので、自然とスキーに乗る位置も良くなり、上達への近道となることでしょう。

ワイヤーの取り付け部分は、足首の動きを阻害せずに、ヒールポケットへ向けてベクトルが働くという条件の下、その位置が決められております。また、その位置はバックルを締めることでキャッチャー側に約1.7の張力が働く位置であり、このバックル構造を取るうえで、現実的で最も効率よく張力が働く位置でもあります。
バックルについた滑車にワイヤーが通っており、バックルを締め込んでも半遊動固定となっているため、足首の動きを阻害せずに足首回りをホールドすることを可能としております。

ライナー
チームライナー(130,110)、プロライナー(120,100,90)の二種類を用意しております。いずれも熱成型が可能ですが、フラッグシップモデルに搭載されるチームライナーはより細かなフィッティングができるようタンが取り外しできるタイプです。
スリングショットバックル搭載によってシェルが特殊な締まり方をするため、それにライナーが追従するようにPU Yバンドを足首部に配置しております。これにより足首、踵が本来あるべき場所でしっかりとホールドされます。

フットベッド
130,120,110には衝撃吸収性の高いラバー製のフットベットが装備されており、ハードランディングの衝撃を和らげます。100,90には従来からのプラスチック製のフッドベッドが装備されています。

パワーシフト
前傾角は13°,15°,17°の3段階で調整可能です。センター位置がセットバックされているスキーに乗る方は前傾を強め、センター寄りのツインチップに乗る場合は前傾を弱めることがセッティングのセオリーです。使用するスキー、ご自身のポジションの癖によって調整すると有効的です。

カフスポーラー
このスポーラーを取り外すことで10mmのローカフ化が可能です。脛が短い女性や身長の低い方はふくらはぎ位置が合わなく痛みが出ますので、このスポーラーを外すことをお勧めいたします。

カントシム
レーシングブーツに搭載されている、無段階調整式のカントシムを搭載しているため調整幅が非常に広く、補正力が非常に高いです。カント調整はスキー本来のパフォーマンスを発揮するためにも非常に重要な作業です。適切に、楽にスキーを踏むために必ずプロショップでの調整をお願いいたします。

メモリーフィット
熱成形可能なシェルを使用しております。整形変化率が高く、冷えても戻りの少ない素材を使用する事で、わずか30分程度で足にフィットするブーツを作成する事が可能です。スキーブーツは使用によるなじみと共に痛みが出ることも珍しくありませんが、ピンポイントで迅速な部分熱整形も可能なので様々な問題を素早く解決します。このシェルは熱形成をしてこそ本領を発揮します。

TECホール
130のみTECホールを搭載しております。
ウォークモードが無いので、ライディングにこだわるBCスキーヤは130を選びましょう。
本国のライダーたちはモービルアクセス&ショートハイクでの撮影を行うことが多く重宝しているようです。

リペアパーツ
壊れやすい環境で使うものであるからこそ、消耗の想定される部分は簡単にドライバーで交換できるようにスペアパーツも用意しております。壊れたら捨てるではなく壊れたら直す。限りある資源を無駄にはしません。
リザルト

早速、24-25シーズンのフリーライドシーンにおいても“AR ONE”が結果を残しております。
トビーはFWT年間世界ランキング3位&ルーキーオブザイヤーを獲得いたしました。

若手のマックスはFWT Jr. やスカンジナビアカップで優勝しております。
アルペンとフリースタイルの両方のテクニックが必要不可欠な上、様々なコンディションが混在するバーンを滑り降りなければならないフリーライドでの結果から、“AR ONE”はスキーブーツとして高いポテンシャルを発揮していることが分かります。
日本国内フィールドテスト

シーズン中、国内でもオンピステ、フリーライド、パークといった想定される様々な環境でテストをしておりました。ライダーからの反響は以下の通りです。
①とにかくフィット感が良く、踵が浮かない。
→これはスイングショットバックルの恩恵です。ターン、バター、ジャンプと様々なアクションの中で踵が浮かずに安定します。スキーと足裏が離れないので、常にスキーと体が一体となり、パワーロスが無く、操作感も軽くなります。

②スキーが自由に動き、いつもより操作が簡単。
スキーを履いて立った時に、限りなくスキーをフラットに踏むことが可能なため、ヌルヌルとずらすような動きとエッジを角付けした時のシャープな動きもメリハリをつけて行う事が可能です。また、ヒンジの位置が低く、足首を使いやすい構造になっております。足首が使いやすいということは脛がしっかりと前方へ入るので、スキーの操作性も向上します。

③パワーロスが少ない。
従来の3Pブーツのアッパーシェルは華奢であるのが一般的で、エッジング時にブーツが横方向につぶれ、ターンパフォーマンスが低下しておりました。ARONEはアッパーシェルを2Pブーツとほとんど変わらない構造で、最も力のかかるヒンジ周辺の素材に厚みを持たせ、立体的に整形しております。そのためパワーロス無くスキーに力を伝えることが可能です。また、ツインチップだけではなくDECLIVITYシリーズでオンピステのテストも行いましたが、従来の3Pブーツでは考えられないフィーリングで2Pブーツに負けない滑走性能の高さを感じることができました。

④重量を感じない。
重量は片足2060g(130/26x)と現代のブーツの中では重い部類に入りましが、履いたライダーは口をそろえて軽いと口にしました。また、Demotourでも試乗した参加ユーザーの皆様から言われることも多々ありました。これは重心の位置が良いこと、フィット感が良いことが起因であると考えられます。
長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございます。
今までに無かった全く新しいブーツで、スキーをより簡単で面白いものにしていってはいかがでしょうか。
早期受注会情報
今年は例年よりも少し早く、5月末から早期受注会を開催するディーラーが多くなっております。開催期間やメーカースタッフの来場については各店のSNSやHPでご確認ください。ニューモデルを確実に、少しでもお得に手に入れられるチャンスです。また、メーカースタッフのいる会場では皆様の疑問にもお答えいたします。皆様とお会いできることを心より楽しみにしております。どうぞお気軽に足をお運びください。
次回予告

次回配信は、生まれ変わったアルマダのフラッグシップアウターウエアについてお伝えいたします。年々、使用素材に対するレギュレーションは厳しさを増す一方ですが、その中で最大のパフォーマンスを発揮するGORE-TEX ePEメンブレン使用モデルにフォーカスいたします。
次回もお楽しみに!
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