Journals
2025.07.31 私とスキー。中山 椎菜
皆さんこんにちは。
早いもので今日から8月がスタートします。
夏休みやお盆ということで遠くへ出かけられる方も多い事と思います。
安全な旅をお楽しみください。
さて、今回のブログはライダー中山 椎菜より記事が寄せられております。
今回より何度かに分けて、人とギアにフォーカスした内容をお届けしてまいります。

1.はじめに
私は目の前がスキー場という環境で育ち、2歳で初めてスキーを履いて以来、滑ることが日常で、小学4年生からは技術選に挑戦しました。毎日の厳しい練習や大会特有の緊張感に、スキー自体をやめたいと思うことも何度もありました。ですが、負けず嫌いな性格で、高校卒業までは技術選を中心にアルペンの大会にも出場し、選手として活動しました。そんな辛かった時期や、”やってやるぞ!”という経験があったからこそ、色々なバーン状況や雪のコンディションに対応する技術を磨けたと思います。
現在は競技から一歩離れ、フリースキーの世界へ。ゲレンデはもちろん、バックカントリーやサイドカントリーなど、雪のフィールドをより自由に楽しむスタイルにシフトしています。ARMADAのスキーと共に、地形を活かしたライン取りや雪質を感じながら滑る事に大きな魅力を感じています。
これからも色々な山、斜面をスキーヤースノーボーダー、分け隔てなく仲間と楽しみながら、自分らしい滑りを深めていきたいと思います。自然の中で、その日の雪、その瞬間の感覚を大切にしながら、「滑りで表現する」ことを続けてまいります。
私の愛機と使い分け
基本的にはコンディションに合わせてスキーを選びますが、パウダー以外では主にオールラウンドスキーとしてDECLIVITY&RELIANCE 82Ti 166cmを使用しゲレンデでの滑走を楽しんでおります。DECLIVITY&RELIANCEはデザイン違いで同スペックですので、性別問わずお好みのデザインのスキーをお選びいただけます。長いハイクを伴うBCへ出かける際はLOCATORを愛用しております。
私のスキー経験とスタイルにおいてターンという要素は切っても切れない関係です。そのため、ツインチップモデルではなくディレクショナル形状のスキーを選ぶケースが多くなりがちです。とは言っても、パウダーではツリーでも取り回しが効きやすいツインチップのJJULやARV112を愛用しております。ARMADAはラインナップが豊富なので、専門性を突き詰めたスキー選びも可能です。

2.DECLIVITY&RELIANCE 82Ti 166cmについて
(1)スキーの特徴
エッジグリップがしっかりしていて整地での安定感がありつつ、柔らかめの雪にも対応してくれる、バランスの整ったスキーです。私はロングターンに自信がありませんが、キレが良く、ロッカー構造のおかげで操作がしやすいです。
コブを含む不整地では、スキーの返りが強すぎず、しっかり板を押さえ込めるので、自分のリズムで滑りやすいです。脚力があればラインを変える動きにも素直に反応してくれて、スピードを出しても安心感がある為、この板は不整地にも相性が良いと感じています。

また、春雪や少し荒れたバーンでも、引っかかりが少なく抜けがいいので、滑っていてストレスが少ないですね。パウダーは得意ではないですが、浅い新雪であれば問題なく遊べます。
(2)一般的なゲレンデ用カービングスキーとの違い
“幅広いシチュエーションに対応できる”事が最大の違いだと思います。カービング性能を備えつつ、整地だけでなく荒れた斜面や端パウ、ちょっとした地形でもしっかりと遊ぶことができるため、一般的なカービングスキーが整地でのキレに特化しているのに対し、この板は滑る場所を選ばず、より自由なスタイルを楽しむことができると感じています。

(3)センター幅が広く、プレートが付いていないカービングスキーのメリットとは?
82Tiはセンター幅が少し広いため、荒れたバーンや春雪でもバタつきにくく、安定感があります。また、プレートが付いていない分、板のたわみをダイレクトに感じやすく、ターンの自由度が高いのも特徴だと感じています。決まった弧で滑るというより、自分のリズムでコントロールしやすいので、整地だけでなくコブや地形でも扱いやすいです。
(4)どんなスキーヤーにお勧めか?
「整地も遊びも両方楽しみたい欲張りな方」「1本で何でもこなせる板が欲しい方」そんな方におすすめしたいです。競技板ほど構えずに扱えて、滑り応えもあるので、私の様な基礎スキー経験者が、太めのスキーに挑戦したい場合の入り口としてはもちろん、レジャースキーヤーの皆様にとってもスキーの楽しみ方の幅を広げてくれるきっかけとなるスキーであることに違いありません。

(6)ビンディングSTRIVEとの相性について
STRIVEはとにかく軽くて、DECLIVITY 82 Tiのような、操作性の高い板との相性は抜群だと感じます。足元が軽く、スキーの撓みをスポイルしない各所の工夫により、コブや地形での細かい動きにもスムーズに追従します。当然、軽いので長時間滑っていても疲れにくく、最新モデルであるのにコストパフォーマンスが高い点も嬉しいポイントです。

3.AR ONE 110について
(1)初めて履いた時の率直な感想
正直、4バックルが当たり前の自分には「3バックルで大丈夫?」という不安がありました。でも実際に履いてみると、フィット感とホールド感に驚きました。重心の位置の問題なのか、カタログの表記以上に使用感が軽く、想像以上にしっかり滑れるブーツという印象を受けました。

(2)今まで経験してきたアルペンブーツとの違い
アルペンブーツに比べて圧倒的に軽く、足入れも柔らかく快適性が高いところが大きく違う点です。フレックスは110ですが、実際の感覚はそれ以上にしっかりしていて、スピードを出しても不安はありませんでした。AR ONEのシェルは、最近流行している軽量シェルを用いた4バックルブーツと、レーシングブーツの中間の厚み、性質で、今まで欲しくてもありそうでなかったタイプのブーツと言えます。また、足首に採用されたスイングショットバックルによって、フィット感やホールド感が強く、滑りの性能もしっかり確保されていると感じました。

(3)DECLIVITY 82Tiとの相性について
AR ONE 110のしっかりしたホールド感と軽さが、DECLIVITY 82Tiのエッジグリップや操作性とよく合っていました。ターンの始動もスムーズで、安定感があり、間違いなしの組み合わせでした。
(4)どんなスキーヤーにお勧めか。
軽い体感重量とフィット感、しっかりしたホールド力を求める中上級者におすすめです。足元の反応がよく、余計な力を使わずに操作できるので、長時間履いていても疲れにくいかと思います。フレックスのラインナップも豊富ですので「重さや硬さがネックでブーツ選びに悩んできた」という女性スキーヤーにも、扱いやすくて安心感のあるモデルだと思います。

4.LOCATOR96&104とTRACER TEC
(1)ライディングのパフォーマンスについて
LOCATOR 96はセンター幅が細めで、エッジグリップが安定しているので、影になっている硬めの雪など、雪質がいきなり変わる場面でも思い切って滑ることができました。一方の104は浮力と安定感があるので、柔らかい雪、大きな斜面での滑りも安心して滑ることができると思います。どちらも軽量ながらしっかり板が走ると感じました。TRACER TECは軽さからは考えられない、剛性感を感じられました。荒れた斜面でも足元がぶれず、ターンの安定感を感じました。
(2)ハイク(機動性)のパフォーマンスについて
どの板も、軽くて足運びがスムーズでした。96は細いので取り回しが良く、トラバースでも扱いやすい印象でした。104は幅がある分、足元をしっかりと固めると急斜面での安定感があり、滑走時と同じく信頼感があります。TRACER TECとの組み合わせで不安定な雪面でもテンポよく登れました。
(3)96、104どちらを選ぶべきか?
私は脚力が強い方なので、板の安定感よりも、タイトなラインで細かく動かせる軽快さを重視しています。そういう意味で、96の方が自分の滑りにはフィットしておりました。軽快にラインを刻みたい方や、脚力に自信がある女性にも扱いやすい一本だと思います。
104は、浮力や安定感を重視したい人向けです。ザラメや柔らかい雪で余裕を持って滑りたい方、広い斜面でスピードを楽しみたい方におすすめだと感じました。
細かく動きたいか、ゆったり滑りたいか。
その違いで選ぶことが私なりのポイントだと思います。

(4)TRACER TECのパフォーマンスについて
TRACER TECは、スキーモードとウォークモードの切り替えが少し独特で、使い始めた時は戸惑いましたし、シンプルすぎる構造が故に不安感もあったのは事実です。しかし、構造が単純なので、一度慣れたらSHIFTよりも簡単に扱え、モード切り替えの手間も少なく感じました。ビンディングに余計な機構がない分、動きの中で自然に操作できるので、ツアー中のストレスが少ないのも好印象でした。今回の立山の様に、限られた時間の中で何度もハイク&ライドを繰り返す環境にはとても最適なビンディングです。もちろんゲレンデとの兼用や、やっぱりライドはアルペンビンディングに近づけたいという方にはSHIFTがおすすめです。それぞれ、特色がありますのでご自身のスタイルに合ったものをチョイスしましょう。
皆様、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
フリースタイル系のメンバーが主体のARMADA Japanチームの中で、私は少し異なったスキーのバックボーンを持ちます。今回はいつもと少し変わった観点でギアの特性、考え方についてお伝え出来たかと思います。スキーの楽しみ方に答えはありません。この記事がきっかけで、皆様のスキーライフがより充実したものとなりましたら幸いです。

プロフィール
中山 椎菜 (なかやま しいな)
札幌出身
スキー場を目の前で育ち、初めてスキーを履いたのは2歳の時。小学生4年生からJr.技術選に取り組み、アルペンスキーも並行して技術、経験を積んだ。中学・高校時代は活動のシーンを技術選に絞り、全日本技術選手権大会 不整地小回りでは3位を獲得。高校卒業を期にフリーライドスキーの世界へ。ゲレンデはもちろん、バックカントリーやサイドカントリーなど、雪のフィールドをより自由に楽しむスタイルにシフト。自然の中で、その日の雪、その瞬間の感覚を大切にしながら、「滑りで表現する」スタイルを追求する。
次回予告

“私とスキー。” 第2弾は、多数のムービースターが在籍し、南魚沼&湯沢を活動拠点とするフィルミングクルー Y.B.Iのメンバー、板場美奈からの投稿をお伝えいたします。フリースタイルからフリーライドまでマルチにこなす、彼女のスキー観や現在の活動と共に使用用具について、リアルをお伝えいたします。次回配信もお楽しみに!
*BLOG更新や最新情報を素早く受け取る↓